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Tsuki のおはなし 第3話

さぁ、与論島に到着。

なんだろうね、毎回上陸する度にやっぱこの島はなんかあるねと感じる。
まずはレンタカー屋さんへ行き、スクーターのレンタル手続き。
あれ?
ない、ない、ないー!
まさかのあれがない。
ちょいとどこまで公表していいのかわからないので、あまり詳しくは書かないけどめっちゃ大事なものがないことに気づき、どうしよう。
うーん、とっさに考えなんとか問題解決。
多分100%アウトやと思うけど。
事なきをへて、スクーターにまたがり、いざ出発❣️
先ずは寝床探し。
場所は勿論、百合が浜への出発地点。
テントを立て食材を調達し、今日はゆっくりしよう。
テント場からすぐ近くにお魚屋さん。
あれ?
こんな所にこんなお店あったっけ?
ふらっと入りナマコを探す。
すると店主がこの島になにしに来たの?と訪ねてくれたので、Henna を育てに来たことや、Tsuki のこと、そして誰か土地を貸してくれないかと聞いてみた。
すると、Henna という木は知らないけど、この島はみんなサトウキビを育てていて、それがかなりの重労働で、年配の方たちはかなり大変だから、もしも Henna が君たちの言うように1年に2回収穫できて、肥料も農薬もいらなくてサトウキビよりも重労働じゃないなら、育てたいっていう人いっぱいいるんじゃないかな。
へー、そうなんだ。
畑を貸してくれる人や、土地探しなら役場で聞くといいよ。
へー、そうなんだ。
植物の事なら東京農大の土博士がいるからその人に会いにいくといいよ。
へー、そんな人がいるんですねぇ、ってな感じで色々おしゃべり。
今回の与論島での旅の始まりで出会った魚屋のおっちゃんがキーマンだなとなんとなく直感。

 

テントへ戻り夕食の準備。
っていうか、超寒いんですけど。
天気もどんよりで風もめっちゃ強いし。
大ちゃんの新しく買ったテント、全方向がスケスケでその上にタープみたいな屋根を張るってタイプ。
テントの中やけど外みたいな。
テントの中を良い感じに風が吹き抜け、3月前半の与論島がまさかこんな寒いとは。
うちらはシュノーケリンググッズに半袖短パンが今回のスタイル。
唯一持って来ていた長袖長ズボンを毎日切る羽目になるとは思ってもいなかった。
風がめっちゃ吹きつけるなか、ビーチでおっさん二人が新しいテントに悪戦苦闘している姿を思い出すとめちゃ笑けてきた。
次の日、まずはえっちゃんに会いに。
前回与論島でお世話になり、その時に作った Tsuki の月桃クリームを渡しに。
元気そうで良かった。
相変わらず可愛らしい。
えっちゃんと薬草研究会の田中さんともう一人、計3人に Henna の話をした。
話の温度的にはまぁまぁな感じ。
すると田中さんが、ここの土は酸性やからねー。
なんですって!?
えっちゃんが言う。
ここは珊瑚の島やから酸性やよ。
そーなのー!?
何をそんなに声を大きくしているかというと、実は Henna はアルカリの土壌でしか育たないということを沖縄の農家さんに聞いてきていた。
沖縄でも Henna を育てるにあたって、いろんな土壌で実験したけど、北は育たなくって南はバッチリ。
北は酸性で南はアルカリなんだって。
仲里さんに会ってからずっと気になっていた与論島の土のph事情。
これはちょっと望みが薄いかもしんない。
なんとなく景色が曇ったように見えたけど、まぁ、ダメかも知んないけどやってみなくっちゃわかんないよねと思いながら、そして、自然栽培なら土の事情も吹っ飛ばしてくれるはず。
なんて思いながらえっちゃん達と話していると、やっぱりサトウキビはしんどくって、除草剤やらなんやら色々使うし、そういうのを買うのにお金もかかる。
結局収穫したサトウキビも肥料やらなんやらを買うお金でトントン。
なんだかなー。
Henna が育てばなー、サトウキビやめて Henna 育てたらだいぶ楽になるのになー、でも、土がなー。
すると、ガラガラガラ。
一人の男の人。
この3人の中の誰かの旦那様っぽい。
田中さんが、ちょうどいいわ、この子達 Henna を育てにきたみたいなんだけど話聞いてあげて。
あなたたち良かったわね、この人はこの島のことはなんでも知ってるのよ。
もう一度 Henna の話。
でも土が、と言おうと思ったら、その男の人が、ここは珊瑚の島やから一面アルカリだよ。
なんですって!?
他3名がうつむく。
どうやら珊瑚礁のさんっていう響に引っ張られ酸性だと思い違いしていたみたい。
一気に晴れ渡り、温度が上がる。
話のボルテージをあげると、男の人がのってきた。
男の人はどうやら田中さんの旦那様。
旦那さんがシャツを腕まくりしながら、これは忙しくなるぞと鼻息が聞こえる。
大ちゃんがテントに Henna の種を取りに帰る。
種を前に話を進める。
なんと、土地はあるから育ててくれることが決まった。
まずは芽を出してもらい、定植する時期にまた来ますと。
僕たちは今年一年、沖縄でもHennaを育てるから、毎回沖縄行った後に与論島に来ればいい。
沖縄でノウハウを教わりながら、与論島で実験。
なかなかいいじゃない。
これはちょいと楽しみやな。
僕たちはえっちゃんのところを後にし、さて、次はどこに行こうか。
役場に行ってみる?
与論島の役場、産業振興課。

 

 

名刺交換をし、Henna を育てに来た事、畑を探している事を話した。
担当の人がいないからと言う事で、また後日きますと挨拶だけさせて貰った。
次どこ行く?
大ちゃんが、青い珊瑚礁に行ってみる?
おっ、いいねぇ。
青い珊瑚礁とは与論島でいろんな商品を開発していて、もずくそばとか、じねんの塩とか、黄金酢とか、鍋に入れたりするとやみつきになるトウガラシと塩と昆布を混ぜたやつとか、他にも色々。
そして、どれもが最高に美味しくっていかしてる。
商品開発だけではなく、ご飯も青い珊瑚礁で食べられる。
ちょいとオーナーと話をしに。
到着し店に入るがオーナーの姿は見えず。
まぁ、お腹空いてるし、とりあえずもずくそば食べる?
商品を見ながらふらふらしていると、海を眺めているおじさまがいる。
ん?
オーナーやん!
話しかけると、いきなり Henna の話になった。
するとオーナーが、その話、もっと前に聞きたかったわ、と。
ちょっと隣に座っていいか?
もずくそば食べてから話しよか?
まぁ、ゆっくり食べなさい。
もずくそば食べ始めると、オーナーが、その話おもろいな。
Henna ってどんな植物なん?
育て方は?
種はあるんか?
全然ゆっくり食べれへんやん。
なんかめっちゃ前のめりやん!
お腹が満たされ、ゆっくりと Tsuki の話をした。
するとオーナー(関口さん)が、君達はどこに泊まってるんや?
百合が浜でキャンプしてます。
ほな、別荘があるからそこに泊まりなさい。
案内するから車に乗りなさい。
え?
なんやなんや。
なにかが動きだしたで、と思いながら車に乗る。
すると島を案内してくれながら、ゆっくりとどこかへ行く。
島人じゃなきゃ、わかんないようなところに連れて行ってくれ、島の歴史や島自体のことを説明してくれる。
なんでこんなにも説明してくれるんやろ?
まるで与論島に引っ越してきた人を案内してるみたいな感じ。
心が何かを感じとっている。
関口さんが連れて行ってくれた別荘はなぜか二段ベッドがいくつかあり、その他のベッドも各部屋にいくつもある。
ここを自由に使いなさい。
まじですか?
車も使いなさい。
なんやなんや、このVIP待遇は。
そして関口さんが、会わせたい人がいるからと言って再び車を走らせ着いた先は、明らかにここだけ植物の雰囲気が違うダイナミックなプチジャングルみたいな所。
家がある。
誰もいない。
関口さんは帰ろうとしないから、植物を観察。
面白い、もともと自生していたものなのか、誰かが植えたのか、そんな感じの狭間にある感じ。
すると一台の車がやってきて、男の人が降りてきた。
ここの住人っぽい。
男が僕たちを見るなり、おっ、お金になる木の二人か?

 

ほ?
ん?
なんやなんや、何のことを言ってるんやこの人は。
まぁ、でもそうっちゃそうやな。
はい、そうです❣️
男が続ける。
昨日寿司を買いに行ったら、何や面白い木を育てにきている二人組がいるって聞いたから、やっぱり君らか。
関口さんが、この二人の話し聞いてみてと男に言う。
男はついて来なさいと言いながら、小屋に案内しつつも話し続ける。
僕はお金の話には興味ない、大事なのは面白いか面白くないかや。
通された小屋は異空間。
このプチジャングルの中にある小屋に、スピーカーやら何やらいろんな機材がずらり。
面白い。
ソファーに座り男は続ける。
自分が今まで何をして来たかや、どういうことに興味があるかやなどなど、とにかく話が止まらない。
ヒップホップのMCバトルが始まるんかみたいな口調。
直感が言う。
この人の今話していることをしっかり聞いておいたほうが良いよと。
神経を研ぎ澄まし、耳を傾け集中した。
ぺらぺらぺら、ぺらぺらぺら、と、まぁ、今聞いていただいた通り、僕の話し方や雰囲気、内容でどんな人かわかったと思うから、じゃぁ、どうぞ。
きたぁー、やっぱりそうや。
次は僕の番。
全神経を集中させて、男が作った空気感や話の内容を踏まえた上で、一気に話を組み立てた。
僕たちが植物だけで綺麗にしていく美容をしていること、それを広めるためにアカデミーをしていること、 Henna を育てたいこと、そして僕たちのブランド Tsuki の話。
植物を育てるようになりお月様との関係に気づき、栽培方法をお月様の満ち欠けに合わせ、と、お月様の話になった途端、男の顔が変わった。
よくそこに気づいたねと、相槌をうってくる。
僕は続ける。
月のリズムに合わせ世界各地旅をしながらその土地の人と共に作る Tsuki 。
満月の日に現れる浜がある与論島、満月の日に合わせ祭りがある与論島、月桃が自生している与論島。
月の光を浴びた与論島の Henna も Tsuki と共に。
いいよいいよ、話に色気をだすねぇ、と男は言う。
僕は続ける。
Tsuki Henna を使用する美容師さん達は、一度でもいいので栽培や収穫に必ず関わっていただき、そして Henna の収穫は必ず満月の日に。
すなわち満月の日はたくさんの人が Tsuki に導かれ与論島に集まり、月のリズムの百合が浜が現れ、満月際、収穫祭となる。
そして TSUKI ACADEMY ではお月様の授業もあり、もちろんアカデミーの受講者も与論島へ。
面白い!乗った!
話はよくわかった、私に任せなさいと男が言う。
へ?
男の話が始まった。
最初に言った通り、面白いかどうかだと。
面白い。
お月様がいいねぇ。
関口さんも入ってくる。
そうなんだよ、この子達の話を聞いたときにお月様の話が出てきたんだよと。
Henna は沖縄で育っているんだね、じゃあ、ほぼ大丈夫だ。
もしもうまく芽が出なかったとしても、宇宙開発のどこそこであーしてこーしてと男が言う。
関口さんが、この男は東京農大のなんたらで、本土からいろんな人が話を聞きに、学びに来ていると教えてくれた。
!!
あの魚屋のおっちゃんが言ってた人や!
名前は竹さん。
なんか面白くなって来たぞ。
竹さんが言う。
TSUKI ACADEMY の月の授業、与論島でやらないかと。
本土から私の話を聞きに学びにくる人たちも一緒に。
施設はあるから、何よりもここは月の島だから。
与論島とお月様が関係している事はわかっていたが、ここまでストレートに与論島は月の島と言う人がいるなんて。
なんか、今更ながらやけど与論島、大好きやわ。
これはもう、竹さんに任せれば大丈夫やな。
よろしくお願いします。
その日の夜、関口さんに誘われご飯を一緒に。
会わせたい人がいると。
同席したのは林さんという農家さん。
なんとモリンガの農園をされている。
モリンガとはビタミンやカルシウム、鉄分などの栄養素が半端なく豊富で水を綺麗にする奇跡の木とも呼ばれている。
この人に育ててもらえばいいよと。
待てよ待てよ。
Henna の生態や与論島のどの場所で育つかなどをやってくれる竹さん。
実際に育ててくれるモリンガ農家の林さん。
話をまとめてくれ、乾燥、粉末までをやってくれる関口さん。
出揃いましたな。
なに、このスピード感。
関口さん、凄っ!
みんなで乾杯をし、別荘へと戻った。